アミール・キャビール

アミール・キャビール

ミールザー・タギー・ハーン・アミール・キャビール(1807年-1852年)は、ガージャール朝第4代君主であるナーセロッディーン・シャーの初の大宰相である。

アミール・キャビールはアラークの近郊にあるファラーハーンのハザーヴェで生まれる。父親は19世紀初頭に活躍した大宰相ガーエム・マガームに仕えた調理人であある。ですからアミール・キャビールはガーエム・マガームのもとで多くを学ぶこととなった。

少し後、秘書官として政府に出仕し、イランで惨殺された帝国ロシアの外交官アレクサンドル・グリボエードフの事件で弁解するためにロシアへ出張した。これは彼の最初の外国での任務である。またオスマン帝国に派遣され、数百年来続いていたペルシアとトルコの間の紛争の終結のために赴いたがこの任務で政治問題に対する熟達を証明し、イランの失われた権利の回復に成功した。

ナーセレッディーン・ミルザーは、即位直後にアミール・キャビールに「アミール・ネザーム(政府の司令官)」という称号を与え、彼を大宰相に起用し、彼に軍隊と統治の全権を委ねる。

国政を改革するためのアミール・キャビールの最初の対策は、廷臣の影響力を減らし、恩給を断ち切り、税金と政府の収入を管理し、予算編成し、正規軍を編成し、封建制を排除することであった。外交政策の分野に於いても、彼は、あらゆる国と平和で友好的な関係を結ぼうとする政策を取り上げ、外国駐イラン大使館の状況を改善し、外国勢力を行使により内政干渉を阻止した。

アミール・キャビールの大宰相時代の一部の行動は、ダーロル・フォヌーンと呼ばれる教育機関の創設、織物工場などの工場の建設、鉱山採掘、河川にダムの建設、農家と国内外の商人との支援、輸出の増加と輸入の減少、反動主義との戦い、主教的少数派の権利の擁護、武器・大砲工場の設立、軍地の設立、海軍の強化、軍服の設定、急使所と衛兵所との建設、『ルーズナーメイェ・ヴァガーイェエ・エッテファーギーイェ』と呼ばれるペルシアで最初の官報的性格をもつ日刊紙の刊行、外国のの技術・学問の雇用、留学生をヨーロッパに派遣すること、アミール・キャラバンサライ(隊商宿)と市場やシェイフ・アブドルホセイン・モスクとマドラサー(学校)、イマームザーデ・ゼイド霊廟のような建物の建設などとなる。