スフラワルディー

スフラワルディー

シェイフェ・イシュラーグ(東方照明学の師)と知られるシハーブッディーン・ヤフヤー・スフラワルディー(1155年-1191年)は、イランの神秘主義哲学者で、東方照明学という独自の神智学を完成した。ザンジャーン地方のスフラワルド村で生まれ、学科の才能があったので学ぶために旅行した。まずマラーガでマジドッディーン・ジーリーという学者を師匠として諸学を学んだ。その後イスファハーンへ行き、ザヒールッディーン・ガーリー(ファーリスィー)という学者に科学を学んだ後、西アジアを巡歴した。若いごろ哲学者として名を成した。

1183年スフラワルディーはアレッポに移り、その名は、サラーフッディーンがアレッポの太守としたその息子、マリク・ザーヒル・ガーズィーの耳にも入り、スフラワルディーはマリク・ザーヒルの庇護を受けるまでになった。にもかかわらず異端的思想のゆえに当時のイスラムの正統派ウラマーに受入れられず，マリク・ザーヒルにスフラワルディーを殺害する圧力をかけた。マリク・ザーヒルは拒否したので、ウラマーは直接にサラーフッディーンにスフラワルディーの殺害を求めた。保守的なムスリム人であったサラーフッディーンは、マリク・ザーヒルにスフラワルディーを殺害する圧力をかけた。マリク・ザーヒルがいやいやながら父の命令を遂行した。ついに38歳でスフラワルディーはアレッポで獄死することになった(スフラワルディーの殺害については諸説あって詳細なところは不明である)。スフラワルディーの殺害後、アレッポにおいて彼の思想に関して異端と見なす人もあり、寛容と見なす人もあった。

シェイフェ・イシュラーグの著作を読むと、保守的なムスリム人は彼と反対する理由を理解できる。アラビア語とペルシア語での治作に於いて、古代ペルシアに伝わったプラトン主義哲学およびグノーシス主義哲学からも霊感を得て，独自の神智学を完成した。つまりイスラム内部にありながら，存在を光とみなし，それを古代ペルシアのゾロアスター教の教義とプラトン的イデア論によって弁証しようとした。著作に用いた専門用語は新しくて、複雑で、ある意味では危険だった。

スフラワルディーは自分の独自の哲学を照明哲学と呼び、光や闇や太陽や星などの要素を入れた象徴的な言葉を使用した。スフラワルディーの作品は約50タイトルあるが、あるのは非常に困難である。『照明哲学』と『光の拝殿』とを含むスフラワルディーのある著作は注釈されいる。『照明学の師全集』の全4巻は、フランスの哲学者、翻訳家、東洋学者アンリ・コルバン(1903年‐1978年)とイランのイスラム哲学者ホセイン・ナスル(1933年‐　)との協力で1977年テヘランに刊行された。