イブン・スィーナー

イブン・スィーナー

イブン・スィーナー(980年-1037年)は、イランの有名な哲学者・医者・詩人で、イスラム世界が生み出した最高の知識人と評価される。

イブン・スィーナー及びアブーアリー・スィーナーと知られるアブーアリー・ホセイン・イブネ・アブドッラーヘ・イブネ・スィーナーは、ブハラに生まれる。通称はホッジャットルハグ、シャラフォルモルコ、シェイホッライース、イマーモルホカマーである。10歳でクルアーンと文学と教義を学び、そしてイスラム法学、哲学、論理学、幾何学、天文学を学んだ。それから16歳のとき、医学の分野で高い地位を得る。17歳でサーマーン朝の君主ヌーフ2世を治療したので、王室付属図書館を自由に利用することが許された。

ガズナ朝時代にイブン・スィーナーはホラズム地方のウルゲンチへ行き、ウルゲンチの統治者マームーン2世に仕官する。ジュルジャーンを統治するズィヤール朝の君主カーブースの庇護を求めているイブン・スィーナーは、カスピ海近くのジュルジャーン（ゴルガーン）に居を定める。その後、レイ、ギャズヴィーン、ハメダーンに移り、長い間ハメダーンに泊まり、ハマダーンの君主シャムス・ウッダウラの信任を得て宰相に起用された。そしてイスファハーンに移住し、イスファハーンの君主アラー・ウッダウラは彼を宰相に登用した。ハメダーンへ戻ってから病気で生涯を終える。

イブン・スィーナーの代表的な作品は、『治癒の書』、『救いの書』、医学や治療や数学、主教学、理論学などの諸項目について詳論している『医学典範』などとなる。

イブン・スィーナーは、学術だけではなく詩・アラビア文学にも精通することを表すのは、彼がガスィーダ詩形で書いた「ガスィーダ・アァイニイェ」という詩である。ペルシア語を用いて文学作品と詩文、詩論を書くでも巧みで、表現方法の特徴が、簡潔文章だった。イブン・スィーナーに帰せられた詩は、ペルシア語の22のルバーイーとキタ（断片詩）を含む65句である。