トルキャマンの音楽

トルキャマンの音楽

約1000年前、サーマーン朝(873～999年)の君主によるイスラーム教に改宗したシルダリヤ川の周辺地域在住のトルクメン属のオグズ部族は、今ではトルキャマン・サフラーと呼ばれる地域に定住するようになった。トルキャマン・サフラーは、イラン北東部、ゴレスターン州と北ホラーサーン州の北西部に位置する地域である。

トルクメンの諸部族の楽師の祖先は、オザーンと呼ばれる音楽家であった。シャーマニズムから発する仕事を相続したオザーンは、民俗の英雄伝を語って、人々からも社会的な尊敬を得られた。オザーンはすべてのチュルク語母語話者の音楽の創立者であると言っても過言ではない。トルキャマン・サフラーでは、オザーンの後継者を｢バフシー｣或いは｢バーグシー｣と呼ばれている。

トルキャマンの民俗音楽の重要な作品は、バフシーによる演奏される作品である。バフシーは、ドタール(タームディーレ)の演奏家、歌手、物語を語り者である。バフシー音楽と合奏する他の楽器は、キャマーンチェ(ギージャーグ)である。トルキャマンの民俗音楽の他のジャンルとして、羊飼いの歌(ネイの演奏で)、らくだ追いの歌(ネイの演奏で)、子供の麻疹を直るために歌う歌(ネイの演奏で)、イスラームの祭りで歌う歌モウルーディー、新婦と処女に歌われる歌ラーラ、子守唄、悲歌などを挙げることができる。

本来のトルキャマン人の民俗音楽は、踊りがない、打楽器とソルナーというダブルリード木管楽器とは使用されない音楽である。トルキャマン・サフラーに於いて演奏される主な楽器は、ドタール(タームディーレ)とキャマーンチェ(ギージャーグ)と4種類のネイである。口琴の一種であるゴプーズ(ギャーヴーズ)もトルキャマン人女性と処女に演奏される。