ギーラーンの音楽
ギーラーンの音楽
ギーラーンの音楽
ギーラーン州の音楽の中心地は、東部のデイラマーン地方と西部のターレシュ地方である。この二つの地方の音楽は大きな違いがあるが、ギーラーン州中部にに近ければ近いほどこの違いは違いは小さくなる。ターレシュの音楽とデイラマーンの音楽を大きく以下の通りに分けることができる。
- 声楽のマギャーム:音楽理論用語としてのマギャームあるいはマカームは、「旋法の体系、システム」といったようなものである。このマギャームはギラキ人[1]が居住するすべての地域特に山岳地と山麓にある地域に流行し、ギーラーンの音楽の最も重要な部分である。このマギャームを基づいて、多数のタラーネ(歌)、声楽のメロディー、声楽・器楽のメロディーなどができた。声楽のマギャームの主なのは、ガーレシー[2]、ギラキ、ゴルバティー(流浪者の歌)、デイラマーニー、悲しい歌、アミール・ハーニー、チャルヴェダーリー(馬・ろばなどの御者の歌)、ダシュト・ハーニー、ガーレサリー(子守歌)、シャラフシャーヒー、パフラビー・ハーニー(茶の葉を摘む時に歌われる歌)、レザー・ハーニーなどがある。これらの歌は楽器を使用せずあるいはネイ(木菅楽器の一種)とキャマーンチェの演奏で歌われる。これらに加えて、イランの他の地方の宗教音楽からギーラーンの音楽に入ったチャーヴゥーシー[3]、サハル・ハーニー[4]、シャハーダト・ハーニー[5]などを挙げられる。
- 器楽のマギャームとメロディー:声楽の多数のマギャームと曲がマギャームとメロディーとしてこの地方の器楽に入った。けれでも、声楽のものと違った独自な器楽のマギャームと曲がある。この独自なマギャームと曲を大きく二つに分けることができる。一つは、牧者にネイで演奏されるものである。二つは、ソルナー(木菅楽器の一種)とナッガーレ[6]で演奏されるものである。グーサン・ダルハーン(羊を集める時の曲)、グーサン・ヘゲルダーン(羊を放牧する時の曲)、ヴァルゲ・サリー、ゲランケシー、バルグリーズィー、アーブケナーリーなどが、ギーラーンの器楽のマギャームと曲の代表的なマギャームと曲である。これらに加えて、声楽のある曲も器楽に入り、ネイで演奏される。
- タラーネと歌:ギーラーンの音楽のこの部分は、タラーネとマンズーメ(韻文)の二つに分ける。ザランギース、ヘイバテ、ショキャティー、ラアァナー、サフーリーなどがマンズーメ(韻文)の代表的な歌である。恋愛、英雄、歴史などの内容と畑で働く状況を映すタラーネは、この地方によく流行している。ある歌特に労働歌を歌う歌手は、女性に限られている。子守歌とノウルーズ・ハーニー[7]は、ギーラーンの音楽のこの部分の種類である。
茶の葉を摘む時に歌われる歌は、パフラビー・ハーニーと呼ばれ、畑で働く時に歌われる歌は、ベジャール・サリーと呼ばれる。ギーラーン地方に使用される主な楽器は、ネイあるいはララ(木菅楽器の一種)、ソルナー、ナッガーレ、ネイラバク(木菅楽器の一種)、キャルナー(木菅楽器の一種)、キャマーンチェ、タシュト(盥)、ダーイェレ(フレームドラムの一種)などがある。
[1] ギーラーン平原に散らばって住んでいる民族である。
[2] ギーラク人の一派で、山岳や山ろくに暮らしており、畜産業で生計を立てている。
[3] 巡礼団の先頭に預言者ムハンマドと預言者ムハンマドの一門とを称えるために作られた詩や歌が朗読され歌われることである。
[4] ラマダン月に夜明け前に歌われる歌。
[5] 殉教される前に遺言を歌う歌。
[6] 二つの太鼓を一組とし、釜形の胴に皮を張った一面太鼓である。
[7] ノウルーズはイラン歴の元日で、このノウルーズが近づくとともにノウルーズ・ハーンと呼ばれる歌手は、屋外で新年の喜びにあふれるメロディーを奏で、人々にノウルーズの到来が近いことを知らせる。
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