ムハンマド・タギー・バハール

ムハンマド・タギー・バハール

ムハンマド・タギー・バハール(1886年-1951年)は、イランの詩人、作家、記者、研究者である。

父親ムハンマド・カーゼムは、シーア派・十二イマーム派の第8代イマームアリー・ムーサー・アッ＝リダー廟とその複合施設（アースターネ・クドゥス）の桂冠詩人であった。父親の死後、バハールがガージャール朝・第5代シャーモザッファロッディーン・シャーの命で桂冠詩人という地位を得た。4歳から父親の下で伝統的な文学の原則を学んだ。そしてアディーブ・ネイシャーブーリーという先生の下に教育を終了した。

二十歳で1906年から1911年にかけてイランで発生した立憲革命家列に入って、ホラーサーン新聞に自分の最初の文学・政治的作品を無名で投稿した。1910年、イランの共和党の思想を紹介する『ノウバハール』という新聞を編集発行した。ほぼ同時にイラン、アフガニスタン、チベットにおける両国の勢力範囲を決定する1907年にイギリスとロシア帝国が結んだ協約に反対するために｢英国外相への伝言｣を『ハボロル・マティーン』紙において投稿した。『ノウバハール』紙は、イランにのロシア軍の違法な駐留を批判したので、ロシア領事の命で発行禁止された。にも拘らずバハールは『ターゼ・バハール』という雑誌を編集発行したが1912年にこの紙も発行禁止され、バハールがテヘランへ追放された。

1914年、第３回国会議員選挙に当選。1921年のペルシア・クーデターで、三ヶ月間外出できなくなって、その間｢魂の興奮｣という永久の詩を歌った。ギャヴァーモッサルタネの首相就任後にバハールは第4回国会議員選挙に当選。同時にドイツ人のイラン学者エルネスト・ヘルズフェルドの下でパフラヴィー語を学んだ。1929年にパフラヴィー朝イランの初代皇帝レザー・シャー・パフラヴィーに反対だったので投獄された。その後四年間、数回投獄・追放された。

1941年にレザー・シャーは退位することを余儀なくされた。1945年のギャヴァームの内閣で文化大臣に就任したが、まもなく辞任した。1947年に第15回国会議員選挙にテヘラン区から当選したが、結核治療するためにスイスへ旅行しなければならなかった。1951年4月自宅で亡くなって、テヘラン北部シェミーラーンに位置するザヒロッドウレ墓地に埋葬された。ある研究者は、バハールは詩的形式、甘美さ、素朴さの面ではジャーミーに次いでいると述べている。バハールは主にガスィーダという詩形を用い、ガスィーダ詩をホラーサーン・スタイルで作詩していた。マシュハド弁で歌われた｢天国｣というガスィーダ詩は、バハールの傑作とされる。｢暁の鳥｣というバハールに作詩された歌は、広く知られている歌である。