『ハームーン』

『ハームーン』

『ハームーン』は、ダリューシュ・メフルジューイー監督が1989年に製作したイラン映画である。イラン映画の1980年代のノスタルジックでトレンドを設定した重要な知識の映画作品の一つである。

『ハームーン』は、主観・個人的な映画に属し、芸術は否定的か肯定的かという質問への答えを探す知識人の性格に焦点を当てている。メフルジューイーの観点に於いて、映画の主人公ハミド・ハームーンのキャラクターは、宗教・愛・信仰・政治的意見の危機に達し、自分の精神的及び客観的を認識できないイラン人の代表的な人格である。

ストーリー：[主人公のハミード・ハームーン―(ホスロー・シャキーバーイー)は、妻マフシードとの7年にわたる結婚生活の末、妻の側から離婚を請求されている。映画は、別居中のハミードが離婚調停のために裁判所に行き、激昂して離婚を拒否した上、調停を放棄してその場から立ち去り、行く先々で幾つかのトラブルを起こし、最終的に海辺で地主と口論した末、逆上して海へと入っていき溺れるまでの、およそ1日の出来事を描いている。その随所に過去の回想シーンが挿入されており、それによって妻との馴れ初めや破局にいたる顛末が説明されている。また、ところどころに挿入される、ハミードが見る幻想的な悪夢や白昼夢のシーンが、ハミードの妄念と、徐々に狂気へと向かっていく様を示している。]

『ハームーン』の出演は、ホスロー・シャキーバーイー、ビーター・ファラヒー、ホセイン・サルシャール、エッザトッラー・エンテザーミーなどとなる。1990年第8回ファジュル国際映画祭で、監督賞、脚本賞、男優賞、撮影監督賞などを受賞した。