ノウルーズのサブゼ

ノウルーズのサブゼ

ノウルーズのサブゼとは、小麦、大麦、レンズ豆などの穀物・豆類を食器に載せて発芽させたもので、豊かさの象徴である。ペルシア語のSの発音で始まる七つのものを飾るというハフト・スィーンの代表的なものの一つとして、ハフト・スィーン食布(ソフレー)にはサブゼが置かれる。一部のイラン人はゴマをクーゼーという長首の土製水瓶に乗せて発芽させ、イラン中部フール市民のような一部の人々は、家の七つの壁龕に穀物を発芽させ、ノウルーズのサブゼを作る。

春新年・ノウルーズにサブゼを発芽させる伝統は、イラン神話に登場するジャムシードが悪魔を負かして枯れた地に帰った日に由来すると言われる。その日、誰でも一握りの大麦を皿に載せて発芽させた。その後、サブゼの伝統は定着され、毎年人々は家に春新年・ノウルーズを間近に控え、七つの穀物を七本の円筒の土器に発芽させ、七つの穀物の発芽の様子からその年のその穀物農業を推測した。

サーサーン朝期における、春新年・ノウルーズの25日前から12つの穀物・豆類を宮殿の12本の日干しレンガ柱の上に発芽させ、イラン暦ファルワルディーン月6日にサブゼを刈り宮殿中に散らし、愛情の日であるファルワルディーン月16日までそれを片付けない。その12つの穀物・豆類の中では、他より成長が速いのは、その年に多い農産物をもたらすと信じられていた。現在、ファルワルディーン月13日まで自宅内に飾ってあったサブゼをスィーズダ・ベダルと呼ばれる新年の13日目に川などに流すことになっている。

サブゼは水水しさと緑の再生の象徴で、その発芽の目的は、その年の豊穣を願うこととも言われている。

サブゼを発芽させ、河川に流せる慣習は、アドーニス春祭のとき、植物を植え、8日目の終わりにアドーニスの像と一緒に海または泉に流せる慣習にも当てはめると言われている。年が移り変わる数時間前に家族はハフトスイーンのソフレー(食布)を用意する。母親は数週間前から生活と水水しさを思わせるサブゼになるために皿などの器の上で小麦、レンズ豆、リョクトウ、コショウソウなどを発芽させる。