チャーヴゥーシュ・ハーニー

チャーヴゥーシュ・ハーニー

チャーヴゥーシュ・ハーニーとは、巡礼団の先頭に預言者ムハンマドと預言者ムハンマドの一門とを称えるために作られた詩や歌が朗読され歌われることである。

チャーヴゥーシュはトルコ語で巡礼団長と軍隊の司令官とを意味する語である。巡礼団を見送る時に、歌われる歌がチャーヴゥーシーで、チャーヴゥーシーを歌う人がチャーヴゥーシュ・カーンと呼ばれる。ブワイフ朝(932年－1032年)時代にチャーヴゥーシュは儀式の業務に従事する人を意味し、イルハン朝(1258年－1353年)時代以来も、軍隊の業務に従事する人を意味した。サファヴィー朝(1501年－1736年)の時代にナギーブ(長官)の意味で使用される。現存する15世紀のペルシア語文献によると、チャーヴゥーシュは、隊を組んで砂漠を行く商人の一団のことであるキャラバンの長官の意味で使用される。サファヴィー朝時代に巡礼団のナギーブ(長官)が選定することは、慣習になり、ガージャール朝(1729年－1925年)時代には確立した。だんだんイラン人の宗教的伝統の一つに数えられるほど重要になった。サファヴィー朝とガージャール朝との時代にはイランに旅した観光者と東洋学者との旅日記さえも、チャーヴゥーシュに言及した。

目的地に着くまでの間にチャーヴゥーシュは先頭に立って道を行き、旅行の計画を立てることと巡礼団の責任が彼の仕事である。彼は、巡礼地のイメージと適当な標語が描がく緑の三角旗持っている。チャーヴゥーシュは、その三角旗を公共の場所で掲げ、詩と歌を歌いながら人々に巡礼団にさんかするように説きすすめる。

チャーヴゥーシュは、イランでは、特に預言者ムハンマドの娘ファーティマとイマーム・アリーの息子であるイマーム・ハサンとイマーム・フサインの男系の後裔たちであるサイイドなら、緑色の長い布を首に巻き、これ以外の場合に黒いターバンを腰に巻く。チャーヴゥーシュは、よい声に加えて強い記憶力が必要とされる。彼は、巡礼の儀式と祈願を覚え、巡礼地と道を知らなければならない。巡礼が終わるとチャーヴゥーシュは、他より先に帰り、巡礼者の家族に巡礼団の帰国を知らせる。巡礼者の家族も吉報をもたらした謝礼として、彼にあるものを与える。

現今では、チャーヴゥーシュ・ハーニーは過去のように盛んに行われないが、まだイランの一部地域では行われている。